1.序
2.時計回りの人々
作詞:Hatano
作曲:People In The Box
ある日 きみは動くのをやめた
発明家のほんの思いつきのように
地球は走る しっぽに見とれて
24時間 気にも留めはしないよ
電話がやかましく騒ぎだす
郵便受けが吐き出す手紙
ひとがいうには
「すぐに治るよ きみのこころは
仲間の待つ仕事に戻れよ 今日のところは」
もしかしたら そうかもね
みんないうなら そうかもね
街は実物大の模型で
ふえるエキストラ 泣いて怒って笑う
台本どおり 忙しい
医者がいうには
「すぐに治るよ きみのこころは
少し休みなさい」
科学者がきめるピースサイン
そこでひとは産まれた
照明焚いて カメラまわせ
用意、スタート!
もしかしたら そうかもね
みんないうなら
政治家も警察も
調子悪いな 言葉つまらせ
専門家曰く、
「こんな天気はみたことがない」
なにか不思議だ
きみは壊れていないのに
でも
医者がいうには
「すぐに治るよ きみのこころは」
もしかしたら そうかもね
みんないうなら そうかもね
もしかしたら
3.球体
作詞:Hatano
作曲:People In The Box
球体に守られて だれもが痣だらけ
球体に守られて だれもが痣だらけ
球体に守られて 今日も 昨日も 明日も
球体に守られて だれもが痣だらけ
誰も気付かない
声をかえせ 泥棒は笑っている
晴れた日
視界から消えたものは
密かに膨らんでいく
僕らはだれも殺せはしない
透明な膜のなか
青ざめた労働者 群れを成しさまよう
砂ぼこり 舞い上がり 顔はほとんど見えない
球体に守られて だれもが痣だらけ
球体に守られて だれもが痣だらけ
球体に守られて だれもが痣だらけ
誰も気付かない
声をかえせ 泥棒は笑っている
空がおちてきたところで
指くわえ みているだけさ
噂と架空の痛みさえ
城壁は越えない
声をかえせ 泥棒は笑っている
晴れた日
視界から消えたものは
密かに膨らんでいく
僕らはだれも殺せはしない
透明な膜のなか
空をかえせ 泥棒は笑っている
4.物質的胎児
作詞:Hatano
作曲:People In The Box
まぶたおろして
むをたべてみよう
こころをなくして
なくのはしないで
影をきりおとせ
やわらかいメスで
ふかさのない穴へと
ほつれだした いとをたぐる
くちのなかを舌がころがる
あじわって あじわって
たくらみをとかすように
蓮のはな ひらいた
きかい からまる
聖なるあくびで
ようふくとおどる
からだはいらない
秘密の遺伝子
あんぜんなみどりむし
無重力 そのかんまんなアクロバット
もつれだした いとをさぐる
たちのぼるよ 色もかたちも
まじわって まじわって
たいくつをしのぐように
いるか すべりこんだ
動物たちだまりこんだ
みずの底で いしがけずれる
冷蔵庫のなかでひかる
なにもみてはいない まなざし
まじわって まじわって
たいくつをしのぐように
いるか すべりこんだ
あじわって あじわって
たくらみをとかすように
蓮のはなひらいた
いつわって いつわって
のどのおく はびこる根を
なみだがしたたった
うたがって うたがって
あしもとのひえたかわを
なにかがしたたった
5.ダンス、ダンス、ダンス
作詞:Hatano
作曲:People In The Box
ぼくは大勢のなか ただのひとり
機械が上陸した青い海で
同じ広告が何度も流れる
網膜に強く焼き付いたLED
はねつけられたら
きみのプライド著しく傷つけられた
愛がすべてというなら
汚れひとつ許せないね
土足厳禁の庭で息をとめるのかい?
哲学者の友達はきびしかった
遂にぼくを許してくれなかったけど
嘘だけは絶対つかなかった
“ついていい嘘なんてあるわけがない”
死んでしまってからも
ぼくはそれを誇りにおもうよ
どんな美しいひとも
じぶんの嘘に気づいていない
超然としていたって
あたまはからっぽさ
風が止んだら 人が倒れる
観客のいないドミノ遊び
悲鳴が止んだら 鳥が笑った
息吹きかえす いくつもの産声
森を突き抜けて立つ狼煙のようだ
割れる喝采のなか
さあ はなしをしよう
想像上の神の庭で
だれもうまく踊れないよ
超然としていたって
あたまはからっぽさ
ダンス!ダンス!ダンス!
きみの孤独が 世界を救うかもしれない
荒れはてた庭で
ひとり なかよく踊りましょう
6.割礼
作詞:Hatano
作曲:People In The Box
きみはたとえば夜行列車で産みおとされた 赤ん坊
その寿命は北半球を行き来する 振り子
永久機関に焦がれた腕が 踊る
たえず軋むレールに 拍子あわせ
ほら 物質の洗礼さ 夜空 輝くコイン
あの東京にも原始時代はあった
ためらうにきび面の少年も
駆けだすそばかすだらけの少女も
IDをカラーチャートに照らし合わせ
近似値で恐怖の汗を ぬぐい落とした
ほら 物質の洗礼さ 夜空 輝くコイン
あの東京にも原始時代はあった
ほら 物質の洗礼さ 夜空 輝くコイン
あの東京にも原始時代はあった
7.みんな春を売った
作詞:Hatano
作曲:People In The Box
ゆうべ からだを売ってみたんだ
こころを切り離すために
フラスコのなかで一生を
過ごせたらいいな
アルコールランプの照らす
混じり気なしの血液で
それで自由になれたかな
天秤にかけてわかるかな
絶対にからだから逃げられないと
知ったきみは
おかしくなってしまった
おかしくなってしまった
おかしくなってしまった
さよならさ
いつかきみも おとなになるよ
聞きわけのない おとなになるよ
未来はまるで泥のように横たわる
まみれて泣いてるきみを横目に
人々は行く
それで自由になれたかな
天秤にかけてわかるかな
最後にこころからにげてしまって
さよならした
まともなひとたちはみな
まともなひとたちはみな
まともなひとたちはみな
戦争へ行ってしまった
戦争へ行ってしまった
戦争へ行ってしまった
さよならさ
いつか君も おとなになるよ
聞きわけのない おとなになるよ
8.市場
作詞:Hatano
作曲:People In The Box
物語が続いていくって
感動的にみんな信じている
もうすでに一部の人たち 笑いの発作止められないよ
ラリって またブットんで 痛みを忘れた
ぼくのことだ
七色の雨が降っている
塩の街 浮かれ騒ぐのさ
一斉に誤作動おこした火災報知器 スペクタクル
貪婪で やわらかい爆撃を背にし
扉をおりていけ 地下深くへ
すすめ 純粋無垢な憎悪のかたまり
武装解除して押し黙ったきみは危ない
暗闇は見えるよりはるかに広大なスペース
沸き立つ欲望も言葉も押し殺していけ
物語が続いていくって
黒幕の契約の上で
七色の雨が降っている
塩の街溶けはじめるのさ
扉降りていけ 地下深くへ
すすめ 純粋無垢な憎悪のかたまり
武装解除して押し黙ったきみは危ない
暗闇は見えるよりはるかに広大なスペース
物体にまつわる情報量を越えていく
光はきみの想像に制限をかける
沸き立つ欲望も言葉も押し殺して
暗闇は世界よりはるかに広大なスペクタクル
むせかえるほど濃密な空気があるよ
遠くで水の音がしている
耳をすませ 耳をすませ
清潔な流し台を血液が走る
9.さようなら、こんにちは
作詞:Hatano
作曲:Hatano
雨の街に傘を降らす
それを奇跡と呼んだよ
まわる まわる 地球儀に
そびえ立つ銀行に宿るもの
橋が燃えているよ 燃えて焼け落ちるよ
モルヒネの川のなか ぼくら夢をみてる
傘を忘れて踊ろう
降り注ぐ それは雨じゃなかったんだ
橋が燃えているよ 燃えて焼け落ちるよ
あなたの絶望で空が晴れ渡るよ
わたしの聖域にはいっておいで
土を踏みしめて なみだを垂らして
意味もなくきみが笑う (さよなら、物質)
意味もなくぼくも笑う (さよなら、物質)
いくつも国を抜けて 列車は走る最中へ
深い深い中心へと 花と宇宙が散るなかを
めざめだ
わたしの聖域にはいっておいで
土を踏みしめて なみだを垂らして
意味もなくきみが笑う (さよなら、物質)
意味もなくぼくも笑う (さよなら、物質)
窓を開け放って 風を誘い込んだ
屋根を吹き飛ばして すべて撒き上がるよ
窓を開け放って 光 暴れだした
まぶた開け放って その眼でなにもみるな
ただいま、ひさしぶりだね
原風景
10.八月
作詞:Hatano
作曲:Hatano
透きとおる朝 からだ宙を舞う
晴れやかな体勢で
流れ出す太陽を青空がのぞきこむ
海岸線 這いつくばるきみを
上からみんなが笑っていた
痛みさえ感じるひまもなかっただろうね
はじめからきみは そのつもりで
そうさ きみの世界で選べるのは
ただひとつだけのボタンさ
機械のように「その階には止まりません」と
ぼくは何度もくりかえすけど
きみには冗談にしかきこえない
誰かが死にかけているとき
きみは生きる喜びにある
人の渦に削られたあげくに
なくなってしまいたい
朝 走る車をぎりぎりでひらりとかわす
突然 誰かにあって話をしてみたくなった
傷ついても
そとは冷たいけれど なかは暖かい
ちょうど からだみたいだ きみの夢は
毎夜 歳をとっていくのさ きみを残して
踊りだしたら視界が揺れる
織り成す世界は壮大なジョーク
ぼくには冗談にしかきこえない
愛も正しさも一切君には関係ない
きみは息をしている
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